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5分でわかるトピックス 「こんなところにも! GPUが注目される理由」

要約
●GPUとは?
●他の半導体との違い
●市場の変革が追い風に
●1) AI(ディープラーニング)
●2) eスポーツ、ゲーム実況
●3) 仮想通貨
●4) エッジコンピューティング(組込みAI)
●FPGA、ASICにも注目


■GPUとは?

この数年、「GPU(ジーピーユー)」という単語がニュースや雑誌に取り上げられる機会が多くなりました。半導体の一種であるとご存知の方も多いと思いますが、なぜここに来てGPUが大きな注目を集めているのかをご説明します。

GPUは「Graphics Processing Unit」の略です。パソコン分野では「グラフィックチップ」「グラフィックアクセラレータ」「グラフィックボード」など、いろいろな名前で呼ばれていました。
GPUという呼び方は、米国の半導体メーカーであるNVIDIA(エヌビディアコーポレーシ ョン)が2000年頃に提唱したのが始まりとされており、いまではすっかり各種メディアで定着しています。

■他の半導体との違い

GPUは、もともとグラフィックス処理のスペシャリストであり、2Dや3Dの画像表示に必要な単純で膨大な計算の繰り返しを、並列的かつ高速に処理するのが得意です。

これに対してインテルなどに代表されるCPUは、長い連続した計算処理や複雑な計算に適していますが、複数のタスクを同時に処理する並列処理は必ずしも得意ではありません。

近年ではCPUも、ひとつのチップのなかに複数のコア(頭脳)を持つマルチコア化を進めていますが、最新の高性能CPUでも1チップに20~30コア程度。一方、GPUは1チップに3,000~4,500コア(CUDAと呼びます)を内蔵しています。

仕組みも仕事も違うので、コア数が直接的に性能差を示すものではありませんが、会社で言えばCPUは複雑で高度なタスクを集中してこなす部署、GPUは膨大な単純業務を高速でこなす部署と言うことができます。

■市場の変革が追い風に

GPUはこれまでパソコンやゲーム機のグラフィック、自動車設計などのCAD設計、映画やゲームなどの3D CG制作、さらには気象などの大規模シミュレーションという、限定的な分野で使われてきました。
ところがこの5年ほどの間でGPUをとりまく状況はがらりと変わりました。理由は、GPUが得意とする、単純で膨大なタスクを桁違いの速度で処理しなければならない市場がいくつも誕生してきたからです。

■1) AI (ディープラーニング)

需要予測、車の自動運転、業務のオートメーション化、身近なところでは画像認識、自動翻訳、スピーカーなど、AI の適用範囲は広がりつづけています。AIの急速な進化を支えているのがGPUです。

現在のAIはディープラーニングという仕組みで、AIが自分で学習しながら認識、判別、予測の精度を高めていきます。人の力をあまり必要としませんが、その分、計算量は莫大なものになっています。学習トレーニングのためにスーパーコンピュータクラスの性能と莫大な計算時間が必要とされていました。
そこで専門家が注目したのがGPUの持つ並列的な高速演算能力です。GPUを使うことでこれまでの何十倍~何百倍も高速に学習することが可能になりました。また専用の半導体を開発することなく比較的安価で手軽なGPUでディープラーニングのシステムの開発が可能になったことも、AIの急速な普及・発展に寄与しています。

■2) eスポーツ、ゲーム実況

2つ目の追い風となっているのが、GPUのもともとの用途であるパソコンのグラフィック表示です。
近年、高解像度の対戦型3Dゲームが全世界でブームになっています。こうしたゲームでは画面表示の細かさ、わずかなフレーム落ち、コンマ数秒の遅れが敗北に直結するため、より高性能なGPUを搭載したゲーミングPCが必須です。
ゲームのeスポーツ化によるプロゲーマーの誕生やYoutubeなどを通じたゲーム実況配信のブームなどを背景として、必ずしも好調とはいえないPCマーケットの中で高額なゲーミングPCだけが売れるという現象が起きています。そしてビジネスマシン中心だった主要PCメーカーは、今こぞって高性能なGPUを搭載したゲーミングPCのブランドを立ち上げています。

■3) 仮想通貨

一昨年、昨年となにかと話題になったビットコインに代表される仮想通貨も、GPU普及を後押ししています。
素人から企業までを巻き込んで大ブームになったのが、仮想通貨のマイニング(採掘)と呼ばれる作業。採掘と称してはいますが、実際にネットの中に埋まっているお金を掘っているわけではありません。
仮想通貨の信頼はブロックチェーン技術で成り立っています。これは国家や通貨発行機関といった特定の誰かが信頼を担保するのではなく、「誰が・いつ・いくら取引をした」という取引実績をみんなで分散・共有・監視しあうことで、取引の信頼を守る仕組みです。
仮装通貨のマイニングは、この取引実績をチェックして取引台帳に裏書きをする作業です。要するに経理作業と信用調査を行ってその報酬としてお金を得ているようなものです。
マイニングは大量の計算を行う必要があり、しかも早いもの勝ちということで、計算能力の高いGPUによるマイニングが一挙にブームとなりました。アマチュアの採掘家のみならず、世界各国の企業がこぞってハイエンドのGPUを搭載した高性能マシンに設備投資を行い、何百台も連結させて日夜マイニングに明け暮れたせいで、一時期、GPUが世界的に品薄になる現象が起きたほどです。

■4) エッジコンピューティング

今の一般的なAIの仕組みは、機器や端末が取得・入力したデータを有線・無線ネットワークを通じて、クラウド上に設置されたAIシステムに処理してもらい、その結果を機器や端末が表示するようになっています。
しかしこの仕組みには弱点があります。1つはAIシステムやネットワークへの大きな負担、そしてそれが引き起こす「遅延」です。
例えばAIスピーカーの応答や自動翻訳が多少遅れてもたいした問題にはなりませんが、これがもし車の自動運転機能や産業ロボットの制御だとしたら、数秒の遅れは重大な危機に直結します。
そこで機器や端末側(エッジ)にもAIを搭載して、リアルタイムで処理・推論・判断を行う「エッジコンピューティング」が新たなトレンドになりつつあります。これがGPUの新たな巨大市場となりつつあります。
特に注目すべきは車載分野です。車載AIは物体認識や走行制御など、遅延の許されないリアルタイム性の強い仕事を行う自動運転のキーテクノロジーです。そのため自動車メーカーとGPUメーカーの技術提携の例が増えています。
今後も車載の他、産業用ロボット、ドローン、IoT機器など、大きな市場となることが見込まれています。

■FPGA、ASICにも注目

ここまでGPUの特長を紹介するとともに、その成長には新たな成長市場が深く関わっていることを解説しました。ひとつひとつの市場が社会を変革する巨大な可能性を秘めているため、各市場については稿を改めて解説する機会もあると思います。

もともとはニッチで限定的な役割だったGPUですが、新市場の拡大に伴ってこれまで以上に大きな成長が期待されています。
とはいえ、前途に全く不安がないかと言えば必ずしもそうではありません。さまざまな半導体メーカーが積極的に新型のGPU の開発をしていますし、インテルも20数年ぶりにGPU単体を商品化するなど、今後はGPU業界内の競争が激化していきそうです。
むろんGPU以外の半導体メーカーも、巨大市場に狙いを定めています。AIやマイニング市場では、性能やコスト面などでより優れたFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(特定用途向け半導体)と呼ばれる半導体を用いる例が次第に増えてくるであろうと予測されています。

GPUに関連する企業やニュースを知れば、市場や社会のこれからが見えてきます。今後もGPUには注目です。

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