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5分でわかるトレンドワード 「半導体産業再生に向けた近年の動き」

要約
●半導体産業再生は重要政策
●復活のロードマップはこうなる
●急速なペースで進む取り組み


■半導体産業再生は重要政策

半導体世界大手であるTSMCの熊本への誘致、半導体新会社Rapidus(ラピダス)への支援をはじめ、日本政府は、近年、半導体産業への支援を強めています。
経済産業省では、半導体産業の復活を目指した政策を話し合う「半導体・デジタル産業戦略検討会議」を継続的に開催しています。

その背景には、デジタル産業やその基盤となる半導体を取り巻く環境の大きな変化があるとしています。

発表資料によれば、
・新型コロナウイルス対応によるデジタル化の進展とDXの必要性の高まり
・5Gなどの新たな情報通信技術・インフラ整備の進展
・世界的な半導体需給状況のひっ迫
・半導体・デジタル関連技術などの先端技術を取り巻く貿易問題、経済安全保障
などがあり、同会議では、今後、日本が世界に先駆けてSociety 5.0に移り変わっていくためには、「産業のコメ」であり、あらゆる社会・経済活動に深く関係する半導体・デジタル産業について、時代の変化を正確に捉え、競争力を高めることが必要だとしています。そしてこのような状況を踏まえ、半導体・デジタル産業関係の企業関係者、有識者、関係省庁が集まり、今後の政策の方向性について、情報共有、意見交換を行っています。
※出典:経済産業省 半導体・デジタル産業戦略検討会議
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semicon_digital.html

■復活のロードマップはこうなる

経済産業省では、半導体産業再生のための具体的なロードマップを策定しています。その基本戦略は以下の3つのステップから構成されています。


※出典:経済産業省 2023年4月3日 第8回 半導体・デジタル産業戦略検討会議資料より
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semicon_digital/0008/0007.html
資料3:半導体・デジタル産業戦略(改定案(抜粋・概要版))
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semicon_digital/0008/3gaiyou.pdf

ステップ1では、製造基盤の確保が重要な課題とされています。具体的な取り組みとしては、台湾の半導体製造世界大手であるTMSC(台湾積体電路製造)を熊本に誘致し、2024年に新工場を稼働させる計画が進められています。この取り組みの目的は、日本の競争力が高い自動車や産業機械などに向け半導体を安定供給することです。効果は早くもあがり始めており、現在進んでいるTMSCの熊本誘致では、熊本だけでなく九州全域の活性化が期待されています。

ステップ2では、国際的な連携を進めて次世代半導体のための技術の確立を目指しています。次世代半導体の具体例としては、次世代の2nm世代のロジック半導体やその先のBeyond 2nm、次世代メモリ、SiCパワー半導体、先端パッケージなどがあげられており、その基盤を確立することが目標とされています。
2020年代後半の次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けて、次世代半導体研究のための新しい研究開発組織として「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」が2023年度中に立ち上がる計画です。そして2022年8月に設立された新会社「Rapidus(ラピダス)」が協力して、次世代半導体の量産体制を実現する計画が進められています。
※出典:経済産業省 次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた取組について公表します
https://www.meti.go.jp/press/2022/11/20221111004/20221111004.html

最終的なステップとして、ステップ3ではゲームチェンジとなるこれまでにない将来技術の開発が重要視されています。内容はまだ具体化していませんが、半導体産業の持続的な発展と競争力の向上を目指して、新たな技術や革新的な取り組みに取り組んでいくことが期待されています。
そして、2030年に国内の半導体関連産業の売上高を、2020年比で約3倍となる15兆円に引き上げる目標を経産省は掲げています。

■急速なペースで進む取り組み

上記のようなステップを踏まえて、経産省は半導体産業に積極的な支援を進めています。 2022年の主な動きだけでも
・TSMCの熊本工場
・トヨタ、デンソー、ソニー、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行の8社が出資する半導体の新会社Rapidus(ラピダス)の設立。2027年までに2nmの先端ロジック半導体を量産する計画
・国内半導体大手であるキオクシアなどが三重県四日市市に建設中の工場への支援
・米マイクロンの広島工場(広島県東広島市)への支援を決定
など、国内・海外企業を含めて半導体生産基盤再構築の動きを急激に加速しています。

今年になっても積極的な取り組みは継続されて行われており、5月に広島で行われたG7サミットに合わせて、岸田首相は海外半導体大手トップと会談を行って、さらなる日本への投資を呼びかけました。出席したTSMC、サムスン電子、米インテル、IBM、マイクロン・テクノロジー、アプライドマテリアルズ、ベルギーの国際研究機関imec(アイメック)という、半導体先端分野のCEOなどトップに対して岸田首相は「政府を挙げて対日直接投資のさらなる拡大、半導体産業への支援に取り組んでいきたい」と、日本へのさらなる投資を直接呼びかけました。
※出典:経済産業省 西村経済産業大臣は、グローバル半導体企業トップとの意見交換会に出席しました
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230518001/20230518001.html

今後も国内半導体産業の復活に向けての動きはさらに加速していきそうです。

 

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