
2020年1月15日(水)から1月17日(金)にわたって東京ビッグサイト 西・南・青海展示棟で開催された「オートモーティブワールド」を訪問してきました。
同展示会は「カーエレクトロニクス技術展」、「EV-HEV駆動システム技術展」、「クルマの軽量化技術展」、「コネクティッド・カーEXPO」、「自動車部品&加工EXPO」、「自動運転EXPO」の6つの技術展示会で構成。世界最大規模の自動車の総合先端技術展ということで、今回は国内外から1100社が出展。3日あわせて約3万9000名(主催者発表)の来場者で会場は賑わっていました。
まず青海展示棟で開催されている「カーエレクトロニクス技術展」にやってきました。
入り口すぐ近くにあったキーサイト・テクノロジーのブース。
5G時代に対応してさまざまな通信テストソリューションを展示。他にも車載機器のノイズ計測、法規対応など、車載の総合的なテストを実演していました。
ロームのブースで目についたのは「第3世代 走行中ワイヤレス給電インホイールモータ」。受電から駆動までのシステムをホイール内にすべて収めたのは、世界初だそうです。ロームはこのシステムにSiCパワーモジュールなどを提供しているそうです。
アナログ・デバイセズのブースでは、USB Type-C、クルマの絶縁ソリューション、次世代BUSなどのさまざまな最新トピックスに関わるプレゼンを実施。
ブース内ではバッテリ、電源、レーダー、センサ、通信など同社の持つバリエーション豊かなソリューションを展示していました。
次世代の車載オーディオ・バスや車載HD映像バスの実演も行っていました。
村田製作所のブースでは車載電子部品関係の展示が中心。自動運転、ADAS、通信、パワーなどのテーマ別にセンサ、水晶製品、リチウムイオン電池関係の製品展示を行っていました。
下のデモは数センチの近距離検知と数メートルの遠距離検知を切り換えて行う防滴型超音波センサのデモです。狭いスペースでの自動駐車と比較的距離のある縦列駐車の両方で使用できるそうです。
下はビシェイジャパンのブース。
抵抗、オプト製品、パワー半導体などの同社の車載対応製品ラインアップを展示。
ザイリンクスのブースでは、自動運転やADASにおけるさまざまな用途でのFPGAの高速処理をアピールしていました。
下のデモは毎秒100フレーム以上でLiDARをリアルタイム処理して物体を自動認識する実演。GPUと比較して性能と低消費電力とコストに強みを発揮できることをPRしていました。
STマイクロエレクトロニクスのブースにやってきました。
下はV2X(Vehicle to X)のデモで、カー搭載マイコンと信号機が無線で通信して自動停止します。
同社のブースで他に興味深かったのは、タイヤが地面に当たるロードノイズを3軸の加速度センサで振動データとして検出する技術。
音の静かなEVではロードロイズの抑制が課題なのですが、単純にマイクでは音を拾いきれなかったり、余計な音を拾ってしまうため、純粋にロードノイズだけを抽出するため加速度センサを使用するそうです。実際に海外では採用実績もあるそうで、車載では数多く搭載される加速度センサですが、さらに新たな用途が生れているようです。
サイプレス セミコンダクタのブースです。
車内のストリーミングオーディオの実演を行っていました。
この他にも、セキュアマイコンやセキュアF-RAMといった特徴的な製品を展示していました。
アドバンスド・データ・コントロールズとGreen Hills Softwareのブースは、セキュアなRTOSによる自動車開発ソリューションを展示していました。
凸版印刷のブースは、電気を通すと不透明になる調光フィルムを使い、さまざまな提案を行っていました。この他にも、中小の異形ディスプレイや曲がる液晶、銅をメッシュ状に編み込んだ銅センサなど、同社の持つ豊富な技術を見ることができました。
旭化成のブースでは、モビリティ社会に役立つ次世代技術の提案が中心でした。
興味深かったのが下の保冷輸送技術の紹介です。断熱材を使った保冷ボックスよって、保冷設備なしで野菜や果物を最適な温度で輸送します。温度センサ、CO2センサ、嗅覚センサと組み合わせることで、中の果物や野菜の状態や食べ頃時期も把握できるそうです。
下は嗅覚センサの実演。カーシェアの空気質(車室内の臭い)の管理を行うことを想定しているそうです。
積水化学工業ではコンセプトカーを展示。何度も見ていますが、そのたびに惚れ惚れするくらいカッコいいです。コンパニオンさんの撮影タイムもちゃんと準備されていました。
太陽誘電のブースで興味をひいたのが下の触感体験。
積層型圧電アクチュエータを使って触感を疑似的に作り出すデモです。ハプティクスや触感フィードバックで何度も体験済みですが、こちらのはかなり再現度が高いので驚きました。
特にツルツル感は超音波振動で空気の層を表面と指の間に作り出して摩擦力を低減しているそうですが、触感という感覚的なものを再現するのは、シミュレーションや理論だけでは難しく職人芸も必要なのだろうと思いました。
Tianma Microelectronicsのブースにやってきました。
深圳のディスプレイの企業なのですが、調べてみると、旧NEC系のNLTテクノロジーが2017年に社名変更したとのこと。
曲がるディスプレイなど、小型の異形ディスプレイを数多く展示していました。
日本電産のブースではEV用モータと減速機とインバータを一体化したE-Axleを展示。
出力バリエーションが増えており、小型車用からSUV用まで対応していました。
同製品は「2019年日経優秀製品・サービス賞」で「最優秀賞 日本経済新聞賞」を受賞したそうです。
西展示棟に移動し、「自動車部品&加工EXPO」にやってきました。
帝国インキ製造のブース。
上はバックライトを当てると見えるステルス印刷。
この他にもノイズを吸収するインキなど、「一芸のある」インキを展示していました。
上はキーエンスのブースで実演していたUVレーザーマーカのサンプルです。世界初の3次元制御で立体形状にも対応し、しかも高精細で美しいのがポイントです。
この他にも3Dプリンタも実演していました。
「コネクティッド・カーEXPO」「自動運転EXPO」のエリアにやってきました。
マイクロソフトはAZUREと連携した自動運転、コネクテッドカー、MaaS関連の展示を行っていました。
こちらはマクニカのブースに展示してあった自動運転開発のための車両。その名も「MacniCar」というそうです。トランクルームの中は最新のセンサやプロセッサが満載でした。
QNXソフトウェア システムズのブースには、カルマ・レヴェーロというアメリカの超レアなPHVスポーツカーが展示してありました。その統合コンソールをQNXソフトウェア システムズのソフトが制御しているそうです。
他に興味深かったのがコーンズテクノロジーのブースで紹介していた、Ultraleap社の空中コンソール。パネルの上に手をかざすと、何かが触っていったり転がっていったりする感触がするのです。種を明かすと、手をカメラで認識し、超音波発生機をアレイ状に配置したものをコントロールして、空中に振動ポイントを作っているのだそうです。理屈ではわかりますが何もないはずなのに、いきなり手に何かが触れてくる感触は相当驚きます。
自動運転のスタートアップ企業 ティアフォーのブースにはJPN TAXIの車両を展示。
自動運転タクシーの事業化に向けた取り組みを進めているそうで、今年の夏に台場地区で実証実験を実施するそうです。
さすが世界最大規模ということで、オートモーティブワールドは見応えのある展示会でした。商談中心のイベントだったとはいえ、一般の人が見ても分かりやすく工夫した実演が多かったと思います。
10月の「名古屋カーエレクトロニクス技術展」も既に多くの企業が出展を決定しており、もうすぐで会場が一杯になるようです。名古屋の来場者の方も楽しみにお待ちください。
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