chugaiトピックス
5分でわかるトレンドワード 「銀行API」

要約
●銀行APIとは
●銀行API誕生の市場背景
●従来との違い
●今日までの推移
●サービス現状
●今後の展開


■銀行APIとは

近年、スマホによる支払い(決済)が身近なものになってきています。こうしたオンラインによるキャッシュレス決済は、マイナポイント制度など国や地方自治体からも奨励されています。このほかにも家計簿アプリや複数の金融機関にまたがる照会サービスなど、ネットを使ったこれまでにない新しい便利な金融サービスが近年続々と登場しています。
こうした新たな金融関連サービスの台頭の舞台裏には、銀行の口座システムにインターネットを通じてさまざまな外部サービスを接続できる「銀行API」の存在があります。2018年の改正銀行法によって登場したもので、2022年現在、100を超える金融機関がAPIを公開しています。今後もAPIの公開が進み、従来なかった便利な金融関連サービスなどが続々生まれることが予想されています。

■銀行API誕生の市場背景

そもそもAPIとはアプリケーション・プログラミング・インターフェースの略で、複数のアプリケーションをつないで連携させるための接続口のようなものです。例えばGoogleマップはAPIを公開しているので、さまざまな外部サービスと連携して利用されています。 銀行APIが誕生してきた背景には、欧米や中国におけるFinTech(金融とITの融合による新しいサービス)の台頭があります。ECや決済専門企業といった銀行ではない企業が、銀行の金融機能を自社サービスに組み込んだ新しいサービスをいちはやく提供するようになってきました。
そこで日本でもこうしたキャッシュレス化やオンライン化の世界的なトレンドをふまえ、利用者の利便性向上、取引のスピード化、新たなビジネス機会の創出、さらにはお金の流れの活性化促進、国際競争力の向上などの理由から、金融機能と外部サービスをオープンにつなぐための新たな仕組みが求められるようになってきました。

■従来との違い

これ以前にもオンライン決済や送金サービスは存在していました。また情報ポータルのマイページからオンライン上で銀行の残高や取引履歴などを参照できるサービスや、銀行情報を家計簿に連携するサービスなどもありました。従来の方法では顧客は例えばオンライン決済であれば電子決済代行等代行業者にIDやパスワード等の個人情報を預け、電子決済代行等代行業者が銀行などの金融機関から口座に関する情報を取得したり支払いの指示をしたりします。
このやり方にはいくつか課題があり、例えば電子決済等代行業者の法的な定義や業務領域が当時は明確化されていなかったこと、また顧客の口座情報の保管やセキュリティ等に関しては銀行などの金融機関に厳しい規制や安全対策が義務付けられていますが、これを第三者に預けるということで、情報漏洩や不正使用のリスクに銀行、顧客ともに強い不安があり、新興のFinTech企業などが新たなサービスで参入するのは困難でした。お金に関わる問題ですので、IDやパスワード等を預けるという方法では、万が一にでも間違いが起きたら銀行をはじめとする金融機関の根幹を揺るがしかねないリスクがあったわけです。


出典:総務省|平成30年版 情報通信白書|金融分野におけるAPI公開https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133140.html

今回ご紹介している銀行API (従来のクローズドなAPIとの比較でオープンAPIとも呼びます)は、ログインIDやパスワードをFinTechなどのサービス事業者に預けず、つまりサービス事業者はログインIDやパスワードを保管することなく、顧客が直接銀行等のシステムにアクセスして指示や許可を与えるという仕組みになっています。 このように銀行等の金融機関とサービス提供事業者の間で安全なデータ連携が可能になったことで、システムへの接続仕様であるAPIを広く開放し、サービス事業者と金融機関が連携してより利便性の高い新たな金融サービスを創造することが可能になっていきます。

■今日までの推移

国は政策の一環として、銀行法の改正などを通じて銀行APIなどによるオープンイノベーションの推進を進めてきました。
銀行法等の一部を改正する法律の概要によれば「「IT革命」の進展などを背景とするいわゆる「異業種」からの銀行業への参入の動きなどを踏まえて、銀行の健全性を確保しつつ、我が国金融の活性化を図ることにより、安定的な金融システムを構築するため、所要の措置を講ずるもの。保険会社についても同様のものとする。これらの措置は経済構造改革にも資するもの。」とあります(出典:金融庁)。
2018年の改正銀行法によって、APIを利用して銀行と接続する事業者(電子決済等代行業者)が登録制となり、その後、銀行に対して2020年5月までにAPIを整備することが努力目標として掲げられました。現在では100を超える銀行でAPIが導入済みとなっています。

■サービス現状

今日ではオープンAPIを活用した金融機関とFinTech事業者の連携から新しいサービスが次々と生まれており、日常的に利用する機会も多くなっています。例をあげると、店頭でのオンライン決済、異なる銀行の複数口座の残高確認、企業の残高照会や入出金明細の照会、クラウド会計、振込や口座振替、口座と連携した家計簿アプリ、個人財務管理など便利なサービスが登場しています。サービスの魅力はもちろんですが、スマホで一度認証しておけばいつでも、サービスや決済を組み合わせて使えるなどの利便性はたいへん高いと言えるでしょう。

■今後の展開

今後も新しいアイディアを持つFinTech企業とのオープンイノベーションにより、利便性の高い魅力的なサービスが出てくることが予想できます。今回は銀行APIについて紹介しましたが、APIの公開は銀行に限った話ではありません。例えば金融業界では、クレジットカード業界や保険業界でもオープンAPIの検討が進められており、銀行との連携や他業種との連携によってさらに利便性の高いサービスが登場してくることでしょう。

マーケテイング・コミュニケーションでのお悩みや課題がございましたら、是非一度、ご相談ください。貴社の課題解決につながるご提案をお話しさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。

  • 5分でわかるトレンドワード
  • < /li>
PAGE TOP