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「本業に根ざした活動で、社会の持続的成長への貢献を訴える」(前編)

企業をとりまく環境の変化をうけ、その評価基準は大きく変わりつつあります。顧客や社会に向けて、いま企業は、どこにどのようなメッセージを発信していくべきでしょうか。そんななか、株式会社クボタ様は質の高い企業広告をはやくから展開され、独自の企業コミュニケーションを確立されてきました。
今回はクボタ様のコミュニケーション活動を長年牽引されてこられました山﨑方義様に、今後の企業コミュニケーションのあり方についてお伺いしました。


聞き手: 株式会社中外 執行役員 東京担当 阪倉 敦



――「クボタの山﨑さんといえば多くの広告団体で要職に就かれたり、様々なセミナーで講師を務められたりと社外でもご活躍ですが、ご経歴について教えてください。


わたしが入社したのは1981年-昭和56年で、クボタマン生活は来年で30年を迎えます。工場や事業部の企画部門を経て、1990年-平成2年に、ちょうどクボタが創業100周年を迎えた時に、広告宣伝部(当時)に異動しました。
社名変更(久保田鉄工→クボタ)や新しいコーポレート・シンボルの告知広告をはじめ、積極的に新しいことを手がけていた時期で、いろいろ勉強させていただきました。それ以降は引きとり手のないまま(笑)、20年間ずっとこの仕事をさせていただいております。


――「山﨑さんといえば、企業を取り囲むステークホルダーの多様化や企業評価のあり方の変化をうけて、企業コミュニケーションの中心に「B to S for S」※の概念をすえていらっしゃいますが、どうやってそこに到達されたのでしょうか?


B (Business) to S(Society) for S(Sustainability)
Business(企業)にとってもSociety(社会)にとっても、「Sustainability(持続可能性)」に
向けたコミュニケーションが企業・生活者相互の持続的発展に寄与する。

クボタの製品は一般の人と直接的な接点がありません。そのため会社が伝えたいことが、なかなか浸透しづらい。それが試行錯誤のはじまりですね。クボタは創業以来、食料、水、環境など、社会的な課題と関わりのある分野で成長してきました。たとえば鉄管なら衛生的な水をお届けする、農業機械であれば食料の増産に寄与するなど、快適で豊かな社会づくりに貢献しています。このように本業をグローバルに展開していけば、地球規模の社会貢献になるのではないか。企業や事業をそうポジショニングすると、コミュニケーションの方向も見えてきます。
コミュニケーション戦略を考えるうえで、どうしたら幅広い方々にクボタを受け入れていただけるだろうか、試行錯誤の末に到達したのが「B to S for S」 という考え方です。これは製品で直接生活者とコミュニケーションすることができないB to B企業に共通する概念だと思います。
ただ、企業のどんな社会的価値を、どのように発信すれば良いのか、どうお届けすれば良いのか。受け手の方の共感を得るためにいまだ悩み、模索し続けているところです。

――クボタさんが発信されるメッセージは、社会的に高い意義や価値がありますが、そこに共通するものとして「事実=Fact」に重きをおかれているようにお見受けしますが。


表現の根底にあるべきものはあくまでも事実であり、"事実"を"真実"として語ってこそ、説得力を持つと考えます。クボタの事業は社会的な活動である。それを堂々と語っていきたいと思います。


――では少し話題を変えて、社内でのご苦労、たとえば予算の獲得や社内の説得などのご苦労はおありなんでしょうか?

決して満足のいく予算がとれているわけではありません(笑)。しかしクボタの仕事は黙っていても一般の方たちには伝わりませんから、コミュニケーション活動は重要です。今年は創業120周年にあたるため、それに関連した活動を新たに上乗せすることができました。
今後を考えると、予算を含め社内から理解を得る努力は粘り強く続けていかなければならないと思います。

――――それを推進する組織はどのようなものなのですか?

これまで、ステークホルダー別に情報発信部門が個別に活動していました。昨年、2009年から、お互いのベクトルをあわせようということで、組織横断的なコーポレート・コミュニケーション会議を2カ月に1度ほど開催し、情報を共有してきました。そして今年の6月にコーポレート・コミュニケーション部が発足し、コミュニケーション活動の統合化を段階的に進めています。農業機械のマス媒体広告と企業広告との整合性をはかったり、社会貢献活動を取り込んだり、クボタトータルとしての最適化をはかっているところです。
この他にも事業部が独自に掲出しているWebサイトなどもありますので、デザインの統一をはじめ、ゆるやかな統合を進めています。まだまだこれからといったところです。

――――情報発信やデザインの統合の反面、事業部門が機動性を持ってコンテンツを発信する良さもあるとは思うのですが?


そうですね。やはり生きた情報を持っているのは事業部ですから、ここまではこちらで、ここからは事業部にお任せする、というふうにバランスよく分担していくことが必要だと思いますね。さらにグローバル規模で考えると、海外拠点のサイトまで私たちが全部つくるのは、現実的に不可能です。一定のガイドラインを設けながら、あとは各部門で管理するといったバランスのとり方はますます大切になってくるでしょう。

――――クボタ様にとってWebサイトはどのような位置づけで、どのような活用をされていらっしゃるんでしょうか?

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