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「BtoB広告における最適なコミュニケーション方法とは」(後編)

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日本の広告費が2年連続で前年割れとなり、新聞、テレビ広告費は5年連続で前年実績を下回った。今、大きな変化の中にある広告業界において、従来型と現在のBtoB広告では、どのような違いがあるのだろうか。日本産業広告協会 前専務理事 大道寺秀一氏と株式会社中外取締役社長 遠山勝が現状と将来のBtoB広告について語りあった。


■「ストーリー」で活きる広告活動


――これからの広告活動で重要なこととは何でしょうか。


遠山
これからは、広告活動の裏づけや効果の数値化。いわゆる「見える化」がより重要になってくると考えています。その基礎となるのは調査や分析です。
調査は私どもで独自に実施することもあれば、市場に出回っているさまざまな調査データを活用することもありますが、戦略を練るうえでの分析・仮説・検証といったプロセスは、BtoB分野を熟知している私どものノウハウや蓄積の腕の見せ所ということになります。
数値化された結果をもとにお客様にクロスコミュニケーション(メディア計画・コンテンツ計画)戦略を提案・実施し、さらにそこでどんな成果が得られたかを数値化し、次の戦略にフィードバックしていくわけです。


大道寺
数値化することで相手に納得していただくことは、非常に大切ですね。景気が悪くなったからといって単純に予算を削減するのではなく、なぜ必要なのかを理解してもらうと。広告の品質管理というか、サプライチェーンマネジメント的な考え方で先進的な取組みですね。


遠山
このようにPDCA(Plan/計画,Do/行動,Check/評価,Act/改善)で改善していく取り組みを、中外では独自にVMC(Value Marketing Communication)と名づけて推進しており、予算配分まで含めマーケティング活動の最適化に貢献できると考えております。


大道寺
ますますオンラインやWebが中心となってくるのでしょうが、カスタマーの情報収集活動を踏まえると、メディアやイベントを含め、トータル的に考えていく必要がありますね。
その意味で中外のVMCの狙いは正しいと思います。最近では広告活動が、プロモーション目的なのかブランディング目的なのか、境目が曖昧になってきています。そこで最適な手法を捉え、提案していくために、広告会社は、マーケティングコミュニケーション会社になっていかなければなりません。
そこでお伺いしたいのですが、目に見える形では表しにくい、情緒や感性といったものがどう伝わっているのか、それをどうやってクライアントに伝えていらっしゃるのでしょうか。定石化できないものに対してどういうバリューをつけていらっしゃるのでしょうか。


遠山
調査データやインタビューでは「企業イメージ」「好感度」など、いちおうの指標を設けてはいますが、「情緒的なもの」「感性に訴えるもの」をはっきりと数値化・明確化できるものは、まだ存在していないと思います。今後は是非チャレンジしていきたいと思っています。

大道寺
言語として明確化されていない、曖昧模糊としたものも、広告を「文化」と捉えた場合には必要だと思うのです。文化というのは、貴重な生き様や存在の仕方であったりしますから。ですが、この曖昧模糊としたものまでも数値化・明確化できないと今後は予算が取れないかもしれません。苦労されるかもしれませんが、今後是非チャレンジしていただきたいですね。
そこから、ブランディングに必要なストーリー性を創造できるということも考えられますから。


遠山
まったくそうですね。ストーリーの創造こそ「投資としての広告」なのだと思います。たとえばあるクライアント様は、伝統的に商品の技術や機能を中心とした表現ではなく、いかに人の心の琴線に触れる表現を志向されているんです。今風にいえばプロダクト志向ではなくマーケット志向というか、人を中心に置くことによって、広告にストーリーやバリューが生まれるんですね。


■広告活動を担う人間像とは


――では、人間像に掘り下げていきたいと思います。企業のアドマンには、いわゆるホスピタリティやコンサル能力が必要という話でしたが、そのためには何をしていくべきでしょうか。


大道寺
広告に対して最低限の知識・ノウハウを持つことはもちろん、継続して勉強していくことも必要だと思います。広告は絶えず進化していますから。よって、広告会社の使命の一つとして、企業の広告担当者が勉強する場を作っていくことが挙げられるかもしれません。
中外は自主セミナーや勉強会等を開催して、広告担当者にアプローチされていらっしゃる。とても大切なことだと思います。知識・ノウハウを持つためにも、安価で誰でも参加しやすい講座を是非設けたいですね。



遠山
ある企業の広報・広告担当者様は「自分はこの会社の代弁者である」という意識を強く持っておられました。社内のあらゆる部署と接点があり、ブランドを高める手法を徹底的に理解されていました。そして自社の伝えるべきメッセージをまとめあげて、競合他社に負けない企業戦士としての気概を持っておられました。
中外はそうした広告業界の諸先輩方に育てていただいて、ここまで成長してきたわけです。
自主セミナーや勉強会などを通じて、微力ながら広告業界の活性化やレベルアップにお役に立つことが、業界への恩返しであり、使命であると思っています。


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