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5分でわかるトレンドワード ギガキャスト

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要約

●クルマの製造プロセスを変革するギガキャスト
●171点あった部品点数をわずか2点に
●設備投資などが課題

クルマの製造プロセスを変革するギガキャスト

近年、自動車業界では電動化やデジタル化をはじめ急速に変革が進んでいます。それにともない「どう作るか」という製造プロセスも、競争力を左右する大きなファクターの1つになっています。こうした中で注目を集めているのが「ギガキャスト」です。
ギガキャストとは、超大型のダイカストマシン(鋳造機械)を使って自動車の大きな構造部品を一体で鋳造する技術です。従来は多数のプレス部品を溶接などで組み立てていましたが、ギガキャストでは多数の部品を1回でまとめて成形できるので、生産現場の工程数や組立時間を削減しつつ品質向上を実現できる技術として関心が高まっています。
経済産業省が策定している2025年版「素形材産業ビジョン」でも、ギガキャストを含む新技術が製造工程の効率化や競争力強化に不可欠と位置づけられています。

出典:経済産業省 2025年版「素形材産業ビジョン」 素形材産業ビジョン参考資料集
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/sokeizai-vision.html

171点あった部品がわずか2点に

ギガキャストの最大のメリットは大型部品の一体成形にあります。部品点数および製造工程が大幅に削減され、これにより組立・検査・溶接といった作業負担も軽減され、効率化が進みます。また溶接箇所が少なくなることで寸法精度や剛性面の品質安定性も向上できる可能性があります。特にxEVでは軽量化が航続距離改善のカギとなるので、ギガキャストの採用メリットが大きくなります。

ギガキャストを本格導入した代表例がテスラです。主力車種であるモデルYにギガキャストを導入し、車体前部および車体後部のアンダーボディーを一体化し、従来の組立工程を大幅に削減しました。従来車種で171点あった部品点数をわずか2点に減らすことに成功し、自動車業界に大きな衝撃を与えました。

国内メーカーでもギガキャスト導入への動きが進んでいます。トヨタは2026年頃に次世代EV車の車体後部でギガキャストの活用を予定する方針を発表しているほか、ホンダや日産なども導入検討を進めています。製造装置業界でもギガキャスト用金型の試作供給を行っている企業や、量産化を目指す取り組みが進んでいます。

出典:経済産業省 2025年版「素形材産業ビジョン」 素形材産業ビジョン参考資料集
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/sokeizai-vision.html

経済産業省は「素形材産業ビジョン」の中で、ギガキャストを含む新技術の導入を競争力強化に不可欠な要素と位置づけています。

設備投資などが課題

ギガキャスト導入には多額の設備投資が必要であり、初期費用や金型設計の負担が大きい点が課題です。また、一体成形化が進むほど設計変更・修理性の柔軟性が下がる可能性があります。
先行してギガキャストを導入しているテスラですが、最新モデルではギガキャストの全面採用を見直し、車体前部を従来の鋼板のプレス部品の骨格に切り替えたという報道もあります。巨大な設備投資や部品の交換や修理が難しいなどの理由を考慮しての対応とも言われており、普及にはまだ多くの課題が残されています。
またギガキャストと関連して「メガキャスト」という言葉が使われることも多くなっています。
メガキャストはギガキャストよりも小型の部品を一体成形する技術で、設備の寸法や重量がギガキャストに比べて小型ですむため比較的導入しやすいというメリットがあり、こちらも注目されています。

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