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5分でわかるトレンドワード ステーブルコイン

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要約

●ステーブルコインは価格変動しない暗号資産?
●送金や決済が手軽、安価、迅速に
●信頼性やセキュリティなどに課題
●日本および世界の取り組み
●まとめ

ステーブルコインは価格変動しない暗号資産?

暗号資産や仮想通貨は言葉としては既におなじみですが、日本ではお店の買い物での採用率はまだ低く、一般生活者として触れる機会は少ないのが現状です。投資目的で運用するためのもの、と認識されている方が多いのではないでしょうか。
最近、暗号資産や仮想通貨と関連して「ステーブルコイン」という言葉を耳にする機会が増えてきました。直近では、「日本円建てのステーブルコインが金融庁から初めて認可された」というニュースが、金融業界で大きな話題になりました。

ステーブルコインは簡単に言うと、「価格が安定するように設計された暗号資産(仮想通貨)」のことです。

従来のビットコインやイーサリアムといった暗号資産は、価格が大きく変動します。このように価格が乱高下する資産は、投資の対象にはなっても日常的な支払い手段としては使いづらいという課題がありました。

出典:金融庁 「暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討について」より
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/20250625.html

そこで登場したのがステーブルコインです。ステーブル(安定した)という名前の通り、価格がなるべく変動しないような仕組みが作られていて、米ドルやユーロ、日本円といった法定通貨に価値を連動させる方式が取られています。例えば「1枚のステーブルコイン=1米ドル」という価値を保つことを目標にしているのです。いわば安全な暗号通貨と言うべき存在です。

送金や決済が手軽、安価、迅速に

価格が安定するステーブルコインにはいくつかの便利な特徴があります。
まず、価格が安定しているので、日常の支払いや送金に安心して使えるというメリットがあります。例えば企業や個人が海外取引をして送金する際、銀行を通すと手数料が高かったり、決済に時間がかかったりします。しかしステーブルコインなら、スマホひとつで、すぐに安く送ることができます。
また世界に目を向ければ、さまざまな理由で銀行口座を持っていない人もたくさんいます。インターネットさえあればステーブルコインを使ってお金のやりとりが可能です。世界中の人がより自由にお金を流通できる可能性もあります。
さらに最近では、銀行などの仲介なしにネット上でお金を預けたり、借りたりできる「DeFi(分散型金融)」という新しい仕組みが注目されていますが、ここでもステーブルコインが使われています。
このように金融機関などを介さずに送金や決済が国際間で手軽、安価、迅速に行えるという暗号資産のメリットを、リアル通貨と同じ感覚で享受できるというのが、ステーブルコインのメリットです。

信頼性やセキュリティなどに課題

便利なステーブルコインですが、まだまだ課題もあります。
ひとつは「1ドル分の価値があります」と言っていても、「本当にその価値が保証されるのか?」「どのような方法で価値を裏付けるのか?」という点です。価値を裏付ける方法として、法定通貨担保型、仮想通貨担保型、アルゴリズム型(無担保型)といった複数の仕組みが存在しています。最も一般的と言われる法定通貨担保型は、文字通り米ドルや日本円といった法定通貨と価値を紐づけるもので、所有している法定通貨を担保としてステーブルコインを発行するような形をとっています。
またステーブルコインの使い方に国際ルールがまだ完全には整っていないため、今後、国や地域の法律や規制によって使い方が制限される可能性もあります。
さらに技術的な問題もあります。ステーブルコインは他の暗号資産と同じくブロックチェーンをベースとしていますが、インターネット上のプログラムで動いているため、バグやハッキングのリスクもゼロではありません。

日本および世界の取り組み

世界では北米やヨーロッパが先行して、ステーブルコインのルール作りを進めています。市場規模は世界全体で2500億ドルを超えており、ドル建てが大半を占めています。企業も注目していて、VisaやPayPalなどがステーブルコインで決済できるサービスをすでに開始しています。

※出典:金融庁 「ステーブルコインの健全な発展に向けた分析」の調査研究報告書
https://www.fsa.go.jp/policy/bgin/innovationtop.html

日本では2023年に法律が改正されて、ステーブルコインが正式に「電子決済手段」として認められるようになりました。そして2025年8月に金融庁が国内初の日本円建てステーブルコインである「JPYC」を承認し、「1JPYC=1円」として、秋から発行が開始されるようになる予定です。
中国、韓国などアジア諸国ではステーブルコインへの対応はさまざまです。中国は資本の国外流出防止などの理由から、暗号資産の取引を2021年以来禁じてきましたが、人民元の国際化のため検討を進めているという報道もあります。

まとめ

ステーブルコインは、「安定した価格を持つ暗号資産」として、法定通貨と同じ感覚で使えるようになるため、大きな可能性を秘めています。送金や支払いの利便性が向上したり、銀行を使わなくても金融サービスを受けられるようになったりと、私たちの生活を便利にしてくれそうです。秋からは使用できるようになるようなので、実際にふれる機会も増えていくことでしょう。

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